大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ラ)1092号 決定

記録によれば、本件建物に本件競売申立にかかる抵当権が設定されたのは昭和四三年一月三一日、競売申立登記がなされたのは昭和四五年二月二四日であり(建物登記簿)、抗告人は登記簿上の賃借権者ではないが、昭和四三年四月から三ケ年の約定で本件建物地下一階を賃借中であることが報告(賃貸借取調報告書)されているから、抗告人に右建物賃借権の存することが証明される限り、その賃借権はいわゆる短期賃貸借(民法第六〇二条)として抵当権者ひいて競落人に対抗できるものといわねばならないこと抗告人の主張のとおりである。しかしながら抗告人は競売法第二七条第三項第三号にいう「登記簿ニ登記シタル不動産上ノ権利者」には当らないから、同法にいう利害関係人として競売手続に関与し、競売期日の通知を受けんと欲するなら、前同項第四号の不動産上の権利者として其権利を証明する必要があるところ、一件記録を精査しても抗告人が右の如き証明をなし、利害関係人として届出た形跡は全くない。されば競売裁判所が右手続を履践しない抗告人を利害関係人として取扱わなかつたのは蓋し当然のことというほかはない。またこれを実質的にみても、抗告人はその賃借権をもつて抵当権者ひいて競落人に対抗し得るのであるから、競落は単に賃借人の交替を生ずるに過ぎず、本件競落によつて抗告人の賃借権はなんらの影響を受けないのであるから、競売法第三二条第二項により準用される民事訴訟法第六八〇条にいう「競落ノ許否ニ付テノ決定ニヨリ損失ヲ被ムル可キ場合」に当らないことも明らかである。

(平賀 石田実 麻上)

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